「退屈しのぎにネコを殺してやる!」
新春映画スペシャル〝ハーシェル・ゴードン・ルイス上映会〟を開催中。
自宅で。DVDで。
本当はゴッドファーザー三部作を観る予定だったのだが、正月休みだし、アルコールに叩きのめされている脳ミソを稼働することなしに観られる映画がよかったので、狙ったわけでもないのだが、「ゴア映画界のゴッドファーザー」ことハーシェル・ゴードン・ルイスのビデオを垂れ流している。
発泡酒のお供はやはり、チープなゴア映画に限る。
今から7年,8年ほど前、大学に籍だけは置いていたもののほとんど家から出ずに、モラトリアムの延長戦をやり過ごしていた頃のこと。当時の私は、『血のバケツ』だの、『美人モデル 惨殺の古城』だのと、題名を聞くだけでちょっとアレな感じがプンプンと匂ってくるような映画を、退屈しのぎに好んで観ていた。たぶん中二病だったせいだ。
所謂、〝B級映画〟とか〝カルト映画〟とかいわれるような映画で、そんな映画ばかりを観ていると時々は『蠅男の恐怖』(クローネンバーグのほうじゃないよ)や、『ウィッカーマン』(ニコラス・ケイジのほうじゃないよ)、『少年と犬』(少年も犬も死なないよ。画家志望でもないしね)みたいな佳作に当たることもあるが、大体は観ている途中で寝てしまうような退屈な代物であった。退屈しのぎに観ている映画が退屈過ぎて寝てしまうのでは世話がない。
青春の空費である。
私がそんなくだらない時間を過ごしている間、同年代の奴らは女の子の×××に×××したり、自分の×××を女の子に××してもらいながら×××に××××して××なのだと思うと、堪らず嫉妬で気が触れそうになるが、今更そんなことを悔やんだところで、尻の軽い女が寄ってきて私の×××を××してくれるわけでもないし、死にたくなるので、普段は極力そのことを考えないようにして生きています。
で、そんな頃に観たものの一つに『片腕マシンガール』という映画があった。
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ハードなゴア描写の馬鹿映画、という感じで、当時わりと話題になった。私はとても楽しみにして鑑賞に臨んだのだけれど、観終わったあとに思い浮かんだのは、「……くそつまんないじゃんか」という感想だった。
見どころといえば、主演の女の子の演技、具体的には、彼女の苦痛に悶える表情や呻き声くらいのもので(あれには興奮を禁じ得ない)、とにかく全体を覆うギャグがきつい。きちい。笑えない。
「血みどろだから」、「下品で不謹慎だから」という意味で笑えないと言っているわけではなく、ギャグ自体が面白くない。小劇団っぽくてダサい。「あまりに馬鹿馬鹿しくて思わず爆笑」みたいな感想をちらほら見かけたが、ほんとにマジで言ってんのかしら? 理解に苦しむ。「ドリルブラ」、「スーパー遺族」とかほんとに面白いと思っているの?(誤解なきよう、強調して言いたいのだが、何も不謹慎で下品だから、という理由で否定するのではなく、そのギャグは単にマジでつまんねぇだろ、と言っているのである)
まあそんな何年も前の映画の話をしても仕方がないのだが、別に誰が見ているわけでもないこんなブログで何を書こうと誰も気にしないだろう。何となく思い出したから書いているだけだ。文句があるなら、私の記憶を触発したH・G・ルイスに言って欲しい。
『片腕マシンガール』が賞賛されたのは、海外資本で制作することにより日本映画界の自主規制に阻まれることなくやりたい放題やることができた、という一点に尽きるだろう。
(素人の私は、詳しくは知らないのだけど、こんな血みどろ馬鹿映画の企画にお金を出す制作会社は日本にないんだってさ。クソだね)
そういう点、心意気に関してはたしかに好ましくも思えるし、もう一度言うが、主演の女の子はエロいし、過剰に血が出まくる荒唐無稽にアホくさい映画も嫌いではないのだけれど、ギャグがあんまりにも辛い。
たぶんサービスのつもりで入れているのだと思うけれど、辛いギャグの挿入されている映画は、その時点でちょっともう観ていられない。いたたまれない。このギャグを、「馬鹿馬鹿しすぎて笑っちゃう」などと言える人は、まあ、なんというか、幸せそうで何よりだね、って感じだ。
てか、もっとすごい正直に言うと、この映画を褒めてる人ってなんか、劇団ゴキブリコンビナートが好きな人と同質な感じがして気持ち悪い。
「世間の良識に阿らないワタシ」、或いは、「世間から爪弾きにされて相容れることのできないワタシ」を誇示したがってる人みたいな。
ごめんなさいね、こんな言い方をするつもりはなかったんですけど。結局は好みの問題ですし。ただ、私はあんまり無理でした。