子供には関係ない

根気のないプロレタリアート。

ジャズと文学

『スウィングしなけりゃ意味がない』という佐藤亜紀の小説がある。おれはてっきり村上春樹の『意味がなければスイングはない』(だっけ?なんかあったよねそんな本。読んでないけど)のパロディでつけたタイトルなのかと思っていたんだけど、よくよく調べてみたところ、村上春樹の『意味がなければスイングはない』っていうの自体が、デューク・エリントンの〝スイングしなけりゃ意味ないね〟という曲をモジったものらしく、つまり佐藤亜紀の『スウィングしなけりゃ意味がない』は、とりあえず村上春樹は関係なくて、その上、デューク・エリントンの曲名のパロディですらなくて、原題〝It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)〟をそのまま引用しただけみたい。

ジャズにも文学にも疎いおれにとってはさながら迷宮のごとしである。しかもその元となったデューク・エリントンの曲名はエリントン自身で付けたものではない、などと言われた日にはもう、産みの親と名付け親との間でたらい回しにされて目を回している育ての親の実子のような気分になってしまう。わけがわからないのだ。

おれがボリス・ヴィアンの小説に、変に憧れを抱いてしまうのはもしかして、このコンプレックスのせいなのか……。