子供には関係ない

根気のないプロレタリアート。

俺の愛した男(1-②)~ヴィンセント・ギャロ~

バッファロー'66』で、監督と同時に、主演も務めたヴィンセント・ギャロは、自らの監督作以外でも役者として、数多くの映画に出演している。……のだが、その出演作は必ずしも優れた作品ばかりではない。

というか、割とどうしようもない映画に出ていたりもする。

凡作、といった印象の拭えない『GO!GO!L.A.』なんかはまだ全然良いほうで、なんならファンもいるかもしれない。楽しい感じの映画である。

『グッバイ・ラバー』。これは鑑賞した人さえあまり多くないのではなかろうか。私は一応観たけれど、まったく内容を覚えていない。

そして、『狼たちの鎮魂歌』という、取ってつけたような邦題の、ヤケにモタモタしたノワール映画にも出演していて、この映画は内容もさることながら、日本版DVDのパッケージがひどい。たしかに主要登場人物の一人ではあるが、主演というわけでもないヴィンセント・ギャロのみを、大きく前面に押し出したジャケットデザインで、あたかも、ギャロがメインで出演している映画であるかのように勘違いさせ、日本のオシャレくさったサブカルファンに売りつけようという魂胆が丸出しのパッケージなのである(いや、実際のところ、外国版のパッケージを見たことがないので、日本以外でも同様に、ヴィンセント・ギャロのネームバリューを利用した詐欺まがいの売り方をされているのかもしれない)。劇場公開時のポスターも同じデザインだったのだろうか?「クレーム上等」という配給会社の心意気さえ感じられるが、その心意気は是非とも別の形で発揮してもらいたい。この映画は、特に、女性のヴィンセント・ギャロファンにオススメである。女性には本来、味わうことのできないはずの「エロビデオのパケ写詐欺に落胆する男の気持ち」というのが擬似体感できる。

ジュリアン・シュナーベル監督の『バスキア』は、映画自体は良い映画であるが、ギャロはチョイ役以下の扱いだ。ギャロが出演している、ということさえ、教えられなければ気がつかないだろう。(マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』にも、そんな感じで出ているらしい) 

といったふうなことで、役者としてのキャリアを侮っているとたまに、『ガーゴイル』とか『エッセンシャル・キリング』みたいな傑作にメインで出演していたりもするので、つくづくわからない。

しかし、なんだかんだ言ったところで結局、ヴィンセント・ギャロという男の代表作は、自身が監督した『ブラウン・バニー』である。異論があろうとなかろうと、それは揺るがないのである。

(続)

 

追記:今日ブックオフで『気まぐれな狂気』という映画のDVDを買った。安かったのだ。あのキーファー・サザーランドが監督した映画で、ヴィンセント・ギャロがまあまあの役どころで出演してるっぽい。

まだ観ていないのだが、パッケージの裏面に書かれた、

「『トゥルー・ロマンス』より過激!『レザボア・ドッグス』よりクール!」

という煽り文を見る限り、ただならぬ不安を覚えずにはいられない。

 

狼たちの鎮魂歌 [DVD]

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エッセンシャル・キリング [DVD]

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