子供には関係ない

根気のないプロレタリアート。

映画

反現場主義宣言(2)−その快感はビデオに映える−

以前テレビで、ある俳優が、「DVDで観る映画なんて映画ではない。劇場のスクリーンで観なくては、映画の醍醐味など味わえるわけがない」というふうなことを語っているのを見た。本職の人がそう言うのだから、それもまあ真実の一端なんだろう。強硬に否定はで…

映画版『震える舌』−小説の実写映画化と文芸作品の活路–

長編小説を、上映時間2時間ほどの映画にしようとするのなら、やはりどうしても、原作に描かれているパートをいくらか削ることになるだろう。一字一句すべてを映像化しようと試みていては、2時間そこらではとても収まらないはずだ。 作り手の意図により、あ…

[感想文]キーファー・サザーランド監督『気まぐれな狂気』

「気まぐれな狂気」、……ってカッコよく言い過ぎだろ。「行き当たりばったりなおとぼけギャング」と言ったほうが当たっている。 彼らは〝気まぐれ〟というよりも単に、〝計画性がない〟だけであって、〝狂気〟じみているのではなく、〝知性に乏しい〟のである…

佐藤亜紀『天使』の書評……をするには私はあんまりオツムが足らないけどでもそれ以外でがんばる

佐藤亜紀の『天使』を読んだ。氏の著書を読むのは今作が初めてだ。一か月くらいかかってようやく読み終えた。私は実に無学なることけたたましく(要はとってもアホなので)、通読するのに非常に苦労した上、おそらく、物語の内容の半分もまともに理解できて…

リンダ・ブレア主演『チェーンヒート』と〝パロディ〟について

※[ある作品を褒めるにせよ、貶すにせよ、別の作品との比較でもって「こちらの作品はこちらの作品と違い、これこれ、こういうふうに優れている/劣っている」というやり方で論じるのは、あまり好ましい手法ではないと感じる。結局、論者の品性と語り口に委ね…

反現場主義宣言-はじめに-(1-②)

そもそも、私の掲げる反現場主義などという主張は一体どういった必要により生じるものか、そこからまず話を進めなくてはなるまい。まどろっこしい説明は抜きにして端的に言ってしまえば、ただの「すっぱい葡萄」というやつである。人の集まる場所というのは…

「退屈しのぎにネコを殺してやる!」

新春映画スペシャル〝ハーシェル・ゴードン・ルイス上映会〟を開催中。 自宅で。DVDで。 本当はゴッドファーザー三部作を観る予定だったのだが、正月休みだし、アルコールに叩きのめされている脳ミソを稼働することなしに観られる映画がよかったので、狙った…

批評することの不可能性こそが批評の作品性を担保する

先日、『ゴッドファーザー』のDVDコレクションを買った。とうとう買っちゃった。 ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション DVD BOX 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日: 2008/10/03 メディア: DVD 購入: 5人 ク…

俺の愛した男(1-②)~ヴィンセント・ギャロ~

『バッファロー'66』で、監督と同時に、主演も務めたヴィンセント・ギャロは、自らの監督作以外でも役者として、数多くの映画に出演している。……のだが、その出演作は必ずしも優れた作品ばかりではない。 というか、割とどうしようもない映画に出ていたり…

俺の愛した男(1-①)~ヴィンセント・ギャロ~

監督作『バッファロー'66』で、童貞男子の心を鷲掴みにした男、ヴィンセント・ギャロ。 同時代に公開された映画で、田舎者の童貞を夢中にさせた映画といえば、『トレインスポッティング』である。しゃらくさい映像がポップミュージックに乗って疾走する、…

反現場主義宣言-はじめに-(1-①)

映画は映画館で観るべきである。音楽はライブハウスやコンサート会場で聴くべきである。鑑賞者たるもの、須らく、その作品の上映・上演されているもとへと、足を運んで、鑑賞すべきである。さもなくば、真の作品理解などが得られる筈もない。と、上のように…

シネフィル

ローランド・エメリッヒやマイケル・ベイの監督作を、「愛すべきバカ映画」として寛大な心で楽しめるかどうか。 ひとつの分水嶺である。たぶん。 そして、狭量な私には到底無理であったよ。インデペンデンス・デイ [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・…

ブコウスキー:オールド・パンク 「作家は気づくのではなく、分かっているものさ」

ブコウスキー:オールド・パンク [DVD]出版社/メーカー: 日本コロムビア発売日: 2006/08/02メディア: DVD購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (23件) を見る三月末の文学新人賞に応募するため、日々せっせと原稿を執筆しているこの頃なのだが、時間…

少年好み 〜小津安二郎「生れてはみたけれど」

私は少年が好きだ。 「自転車泥棒」というイタリアの白黒映画があるのだが、先ごろそれを鑑賞していて改めてそう自覚した。 いや、断じてペドとかショタコンではない。 稲垣足穂的にアカデミックな意味のアレでもない。 映画に出てくる少年が好きだ。 アニメ…