子供には関係ない

根気のないプロレタリアート。

休日

汗をだらだらかきながら、熱い風呂から上がり、バスタオルで身体を拭うのもそこそこに、冷蔵庫を開けて、昨晩から冷やしておいた缶ビールのプルトップを捻り取る。午後1時。
心に余裕と平穏を。
ビールを持った右手の平の温度がじんわりと下がる。気持ちがいい。
余裕と平穏を。
氷の粒みたいな炭酸が、口と喉の中で、一瞬で蒸発するように弾ける。(ちょうど、熱した鉄板の上で水滴が蒸発する風な具合に!)
余裕と平穏を。
風呂の残り湯に、粉末状の洗濯洗剤を投入して、数週間、もしかしたら数ヶ月間も洗っていなかった、寝間着のシャツと薄いスウェットズボンをじゃぶじゃぶと洗う。邪悪な色に変色した風呂湯を捨てて(排水口は、泥酔漢のゲップみたいな音をたてながらその穢い湯を飲み込んだ)、蛇口から水を流し出し、シャツとズボンの洗剤をすすぎ落とした。
心に余裕を、平穏を。
洗濯物を物干し竿にぶら下げて、久しぶりに惜しみなく放射されている日光の中を泳がせる。ここのところ曇天続きだったのだ。晴れてよかった。
心の余裕と平穏を。
今日は何の予定もない。
心に余裕と平穏を。
ビール片手にぴかぴかの洗濯物を眺めて、煙草をふかす。
心に余裕と平穏を。
張合いの無い、多忙の徒労の生活に、心の余裕と平穏を。