詩
男が小脇に携えている色紙の束、その十数枚の色紙すべてに、以下のような文言が、まずい肉筆で、一言一句違わずに書かれていた。「『政治の話はしたくない』政治の話はしたくない自分が無知だとバレるから政治の話はしたくない思想がないってバレるから政治…
佐藤亜紀の『天使』を読んだ。氏の著書を読むのは今作が初めてだ。一か月くらいかかってようやく読み終えた。私は実に無学なることけたたましく(要はとってもアホなので)、通読するのに非常に苦労した上、おそらく、物語の内容の半分もまともに理解できて…
ノンアルコールビール 無添加食品 陶器に添えられたナイフとフォーク クーポン券 バーゲンセール 中年 熟れたバナナの斑点 ドライクリーニング 接触の悪いコード類 成金 地主 酔っ払い ヤブ医者 田舎者 これらは私の耐えがたいもの 2000年代以降のノイズバン…
頭ん中で、豆みたいな瘤が暴発したせいで、いよいよ言語野のイカれた彼が言うには。 産婆の歓喜の雄叫びがリディア・ランチのように耳鳴りだ。 産まれた!死んだ!産まれた!死んだ! 産まれてそれからすぐ死んだ! 耳元でそうやって、がなり立てるからチン…
聾唖者の激情はあられもない絶叫になって健常者を脅かす。 突発的な劣情が身も蓋もないスキャットとなってそそのかすように。 戸棚の抽斗に使用済みの紙ナプキンが入っています。 サラダの上では七面鳥がすり身になって死んでいます。 殴り書きの伝言。 意図…
汗をだらだらかきながら、熱い風呂から上がり、バスタオルで身体を拭うのもそこそこに、冷蔵庫を開けて、昨晩から冷やしておいた缶ビールのプルトップを捻り取る。午後1時。 心に余裕と平穏を。 ビールを持った右手の平の温度がじんわりと下がる。気持ちがい…