無痛症
いつだって、いつだって。
悲愴感が無くたって、暗い気分は暗い。
詩情が無くなったって、歌を唄っている。
時計台の数分は、私の一生分。
思い立って、間違って、はぐれて、もうおしまい。
利害が合致したって、私は君を嫌ってしまう。
理解者を欲しがる振りも、もう飽きてしまった。
凪のように無表情な怒りを、奪うように、差し出すように湛えて、
こうじゃないはずだ、こうじゃない、と繰り返して。
叫ぶように、呟くように唱えて。
起伏も理屈もない、この憤慨を、
肥っていくだけの、純朴な怒りを、
こうじゃないはずだ、こうじゃない、と繰り返して。
唸るように、囁くように怒鳴って。
理想じゃないなら、至高じゃないのなら用はない。興味もない、まるで興味もない。何てくだらない。
こうじゃないはずだ、こうじゃないはずだ、こうじゃないはずだ、こうじゃない、
なんて。
いつだって、いつだって。いつだって、いつだって。